本サイトの記事内には商品PRが含まれます

「リモート下の会社員の学びに関する実態調査」の結果を発表!:リクルートマネジメントソリューションズ

リモートワーク

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:山﨑 淳 以下、同社)は、新型コロナウイルスの発生以降、現在も同じ会社で勤務しており、テレワークの頻度が週または月の半分以上に増えた(コロナ禍以前は半分以下)832人に対し、2022年2月に「リモート下の会社員の学びに関する実態調査」を実施し、その調査結果を公表しました。

1.調査の背景

新型コロナウイルスの発生をきっかけに、仕事と学習のリモート化が大きく進展しました。

これらのリモート化により、会社員の仕事に関する学びには、どのような変化があったのでしょうか。

仕事と学習のリモート化が学習に与える「プラス」と「マイナス」両面の影響が想定されるなか、この調査では、コロナ禍前と比較して、勤務形態が「出社ワーク中心」から「テレワーク中心」へと変化した会社員を対象に、下記を検証しました。

  1. テレワーク中心になったことで、「仕事に関する学びの満足度」「仕事に関する新しい学びの有無」はどのように変化したか
  2. 学習資源としての「仕事に関する学びに使える時間」「対人ネットワーク」「学習機会」はどのように変化したか

なお、この調査では「学び」について、知識やスキルの習得だけでなく、職場での経験や対人関係からの学びなども含め、広く捉えて質問をしています。

2.調査の結果

「仕事に関する学びの満足度」は、変わらないか高くなった人が多数派

(図表1)

・過去1年の仕事に関する学びについて、コロナ禍前と比べて、満足度がどのように変化したかという質問に対し、最も多いのは「あまり変わらない」で42.4%だった。

・「高くなった」「どちらかといえば高くなった」の計が43.4%なのに対し、「低くなった」「どちらかといえば低くなった」の計は14.3%だった。

図表1 仕事に関する学びの満足度の変化(単一回答/n=832/%)

仕事に関する学びの満足度の変化

次に、過去1年で、仕事に関する新しい学びがあったか、についてたずねた。

コロナ禍前の2019年調査*1と比べたのが図表2である。
なお、2019年調査は、本調査の対象に揃えて集計しなおしている。

*1リクルートマネジメントソリューションズ(2019)「職場での個人の学びに関する実態調査」

過去1年で仕事に関する新しい学びを得た割合は、「中長期的にキャリアに役立つ学び」を中心に、2019年調査よりやや増加傾向

(図表2)

・「現在携わっている仕事に直結する学び」は、「あった」「どちらかといえばあった」が、2019年調査の62.5%に対し、2022年調査は64.5%で、有意な差は見られなかった。

・一方、「中長期的に自分のキャリア形成に役立つ学び」は、「あった」「どちらかといえばあった」が、2019年調査の43.8%に対し、2022年調査は54.9%と有意に多かった。

⇒2019年調査ではテレワークを行っている程度によって条件付けしていないため単純に比較はできないものの、2022年調査「テレワーク中心」の働き方をしている人が、過去1年で仕事に関する新しい学びを得た割合は、中長期的にキャリアに役立つ学びを中心に、以前の調査に比べてやや増加傾向にあるようである。

図表2 過去1年の新しい学びの有無(単一回答/n=832/%)

過去1年の新しい学びの有無

仕事に関する学びに使える時間は約半数が増加、対人ネットワークは約半数が減少

(図表3)

・「仕事に関する学びに使える時間」「対人ネットワーク(社内)(社外)」は、いずれも「あまり変わらない」が最も多い。

・「仕事に関する学びに使える時間」については、「減った」「どちらかといえば減った」が5.4%と極めて少なく、「増えた」「どちらかといえば増えた」が48.5%と約半数に迫った。

・一方、「対人ネットワーク(社内)(社外)」は共に、「増えた」「どちらかといえば増えた」が15%前後と少なく、「減った」「どちらかといえば減った」が45%前後と多かった。

図表3 学びの資源(仕事に関する学びに使える時間・対人ネットワーク)の変化(単一回答/ n=832/%)

学びの資源

学びの機会は「上司・職場」「会社」に多い

(図表4)

・「社外」「会社」「上司・職場」に関する10の学習機会について、「過去1年において経験したものは何か」をたずねた結果、回答が多いのは「上司と部下の間の1on1ミーティング(41.5%)」、「社員対象の研修(35.3%)」、「上司や同僚からの業務支援やフィードバック(30.8%)」の順で、3~4割の人が経験していた。

・一方、社外の機会である「社外の社会人向けの専門教育プログラム(7.6%)」、「副業、ボランティアなど社外活動(10.9%)」は、経験した人が少なかった。

図表4 学びの資源(学習機会)の実態(複数回答/n=832/%)

学びの資源(学習機会)の実態

リモート下での学びの機会は増加の傾向。特に社外の学習機会が増加

(図表5)

・学習機会について、「増えた」「どちらかといえば増えた」の計が特に多かったのは「副業、ボランティアなどの社外活動(70.3%)」「社外の社会人向けの専門教育プログラム(69.8%)」「社外のセミナーや勉強会(59.6%)」と、社外の学習機会だった。

具体的な内容や増えた背景についての自由記述では

「通勤など仕事のための時間が減り、自由に使える時間が増えたため、通信制大学に入学し卒業を目指して学習中(20代開発)」

「在宅勤務で日中の時間調整がしやすくなったため、2カ月に1回程度、組織改革についてのセミナーに参加(50代企画事務)」

「オンライン開催で参加しやすくなり、月に1度程度、社外のビジネスセミナーに参加している(30代営業)」

など、テレワークで仕事に関する学びに使える時間が増えたこと、オンライン化で手軽に社外の学習機会を活用できていることがうかがえる。

・反対に学習機会について、「増えた」「どちらかといえば増えた」の計が少なかったのは「上司や同僚の仕事ぶりを見て学ぶ機会(30.8%)」「上司や同僚からの業務支援やフィードバック(33.6%)」と、職場での学習機会だった。

⇒「電話で1対1話す機会が増え、周りを気にすることなく話せる。業務に関することや仕事の仕方についてフィードバックをもらうことが増えた(30代開発)」

「上司の管理職研修などがオンラインに切り替わり現場へ関わる時間が増えたため、上司の営業同行が増えた(20代営業)」

など、テレワークや学びのオンライン化がこうした機会を増やしたケースもあったことがわかるが、その割合は少なかった。

図表5 学びの資源(学習機会)の変化(単一回答/%)

学びの資源(学習機会)の変化

「仕事に関する学びに使える時間」「学習機会」は、減少した人より増加した人が多い

(図表6)

・図表6では、図表4と図表5の結果をマトリクスにした。横軸は「経験度(過去1年に経験した割合)」、縦軸は、機会の「増加度(『5.増えた』+『4.どちらかといえば増えた』」の割合)」を示している。

・経験度も増加度も高いのは「上司と部下の間の1on1ミーティング(経験度41.5%、増加度51.9%)、」「社外のセミナーや勉強会(経験度27.0%、増加度59.6%)」だった。

⇒リモート化に後押しされて増加し、
最も経験しやすい学びの機会であるといえよう。

​・ 経験度は低いが増加度が高いのは「副業、ボランティアなど社外活動(経験度10.9%、増加度70.3%)」「社外の社会人向けの専門教育プログラム(経験度7.6%、増加度69.8%)」「社内の情報共有システムの利用(経験度23.7%、増加度56.3%)」「社内の自主的な勉強会や実践グループ(経験度18.8%、増加度49.2%)」「社員全体会議など会社のビジョンや方針の共有(経験度20.7%、増加度49.4%)」だった。

・経験度は高いが、増加度が低いのは、「社員対象の研修(経験度35.3%、増加度36.4%)」「上司や同僚から業務支援やフィードバック(経験度30.8%、増加度33.6%)」だった。

・経験度も増加度も低いのは、「上司や同僚の仕事ぶりをみて学ぶ機会」で、「減った」「どちらかといえば減った」という回答が他に比べて多かった。

⇒リモート化
で減少した学びの機会といえる。

図表6 学びの資源(学習機会)の経験度と増加度(単一回答/n=832/%)

学びの資源(学習機会)の経験度と増加度

仕事に関する学びに使える時間や学習機会の増加は、学びを促進している

(図表7)

・図表2で紹介した「現在携わっている仕事に直結する学び」「中長期的に自分のキャリア形成に役立つ学び」の程度への影響を確認したところ、「仕事に関する学びに使える時間の増加」「学習機会の増加」は、いずれの学びに対しても、有意な関係が見られた。

・また「社外の対人ネットワークの増加」は「中長期的に自分のキャリア形成に役立つ学び」に対してのみ、やや有意の関係が見られた。

⇒今回の調査では、「仕事に関する学びに使える時間」「学習機会」は減少した人より増加した人が大幅に多いこと、「対人ネットワーク社内)(社外」は増加した人より減少した人が大幅に多いことが示されたが、「仕事に関する学びに使える時間」「学習機会」の増加は、「対人ネットワーク社内)(社外」の減少より学びの程度に対して強い影響を与え、結果的にリモート下での学びを維持・促進したと推測される。

「中長期的に自分のキャリア形成に役立つ学び」に対する「社外の対人ネットワーク」の減少が与える影響は、今後懸念されるところだが、リモート化以外の要因である外出や会食の規制が緩和されることで状況が変わってくると思われる。

図表7 学習資源の変化と学びの程度(重回帰分析/n=832)

学習資源の変化と学びの程度

3.調査担当研究員

組織行動研究所 研究員 佐藤 裕子

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
組織行動研究所 研究員 佐藤 裕子

1990年にリクルート入社。

法人向けのアセスメント系研修の企画・開発、Webラーニングコンテンツの企画・開発などに携わる。

その後、公開型セミナー事業の企画・開発などを経て、2014年より現職。
研修での学びを職場で活用すること(転移)に関する研究や、機関誌の企画・編集などに携わる。

4.調査担当研究員のコメント

今回の調査では、コロナ禍以降、勤務形態が「出社ワーク中心」から「テレワーク中心」へと変化した会社員について、「仕事に関する学びに使える時間」や「学習機会」が増加したこと、それが仕事に関する学びの程度にプラスの影響を与えていることがわかりました。

「仕事に関する学びの満足度」も向上しています。

「対人ネットワーク」や「上司や同僚の仕事ぶりを見て学ぶ機会」などテレワーク中心となることで発生したマイナスの影響もあるものの、全体として学びにとってプラスの影響が大きいことが示唆されます。

「忙しくて学びの時間がとれない」「参加可能な時間に機会がない」「場所が遠い」といった学びを阻害する要因を解消し、意欲の高い会社員の学びを促進する効果があると考えられます。

5.調査概要

※調査実施は株式会社マクロミルに委託

リクルートマネジメントソリューションズについて

ブランドスローガンに「個と組織を生かす」を掲げ、クライアントの経営・人事課題の解決と、事業・ 戦略推進する、リクルートグループのプロフェッショナルファームです。

日本における業界のリーディングカンパニーとして、1963年の創業以来、領域の広さと知見の深さを強みに、人と組織のさまざまな 課題に向き合い続けています。

●事業領域:人材採用、人材開発、組織開発、制度構築
●ソリューション手法:アセスメント、トレーニング、コンサルティング、HRアナリティクス

また、社内に専門機関である「組織行動研究所」「測定技術研究所」を有し、理論と実践を元にした研究・開発・情報発信を行っています。

※WEBサイト:https://www.recruit-ms.co.jp

 関連リンク